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 それは、最も新しい御伽噺。

 其処で、血肉の代わりに巡るのは電気信号。
 有象無象がたゆたう電子の海を満たすのは、真偽の定かでない情報群。
 有機と無機が入り混じり、『此処ではない何処か』を指し示すヴァーチャル・サイバー・グラウンド。
 管理するものはなく、また統制するものもなく。
 いっそ無軌道なまでに無法地帯である其処に在るのは、現実の悲哀を編み込んだ数多の物語。
 それは例えば、『神々の黄昏』の名を持つ未曾有の電脳大戦の真相。
 また、今尚極東の地に君臨する『電脳調律師』の子供じみた、けれど確実な畏怖を以って綴られる所業。
 あるいは囚われの身でありながら、遥けき月より遍く地上を見下ろしている紫眼の少年博士。

 そして、ここにも物語がひとつ。
 互いに深く忌まわしい過去を抱え遭遇する『白い魔術師』と『蒼の探偵』。
 けれど今だ、彼らの行く末を誰も知らぬまま。
 混迷を極めた現実を踏み越えて、一切のヴァーチャルを含まぬ月下のリアルで二人は出会う。

「今晩は…『名探偵』」
「よう…『魔術師』サン?」

 一切の偽りなしに交わした笑みは挑むが如く。
 不夜城のネオンサインを頬に、欠けぬ月を頭上に。
 動き出した世界は、誰にも止められない。

 Are your ready ?


to be continued....


2005.05.17.

H O M E *