ひよこと王様と愉快ななかまたち


 JR東日本高速鉄道・長野新幹線上官。
 大仰な名前に似合わぬ小さな体躯の彼は、ぱたぱたと子どもらしい足音を立てて廊下を急いでいた。
 廊下は走らない、と尊敬する東海道せんぱいと約束したので、緊急事態でない限り長野は廊下を走ったりしないのだ。業務上どうしても、の時は仕方ないけど周りには気を付けるんだよ、と苦笑した秋田せんぱいとも約束している。これは守らなくてはならない。
 けれども、予定されていた高速鉄道のミーティングまであと数分。このままでは遅刻してしまう、とわずかな焦りを覚えるのも事実だった。
 周囲の大人たちは皆長野を子どもとして扱うけれど、自分だって近い将来北陸新幹線へと成長する予定なのだ。それまでには子どもとしてではなく、同僚として対等に見て貰わなくてはならない。
 それは、長野が皆を『せんぱい』と慕うのとは意味が違う。それくらいは子どもにだってわかるのだ。
 そんな状況もあって遅刻しそうな現状に焦りを隠せない長野は、故にその足元に気づくのが遅れてしまった。否、もともとあまりに小さなそれは、それほど気に留められるようなものでもなかった。
 既に現在位置は上官執務室が存在する特別フロア。在来線や職員は滅多な事では立ち入らない、人気の少ない区画だったことも更に災いしたのだろう。
「ふわっ?!」
 足元にひっかけた何か小さなやわらかいものが、抗議の声を上げる。驚きに足を縺れさせかけた長野は、たたらを踏んで壁に手を付けることでようやくバランスを取り戻した。
「な、なんですか……?」
 きょろきょろとあたりを見回すも、それらしき障害物は何処にも無い。ひっかけた足は特にダメージも無く、このまま急ぐべきなのだろうが、先ほどの声が気にかかる。
 どうしよう、と状況が掴めずに困惑する長野の足元で、小さなそれは何かを訴えるように再び鳴き声を上げている。
 びくり、と肩を跳ね上げて、長野はおそるおそる声のする方を覗き込んだ。

「……ひよこさん?」

 ぴ、ぴい!

 長野の足元で囀っているのは、ちいさなちいさなひよこが一匹。
 じゃあさっきひっかけちゃったのはこの子?と眉根を寄せる長野の様子を知ってか知らずか、そのひよこは小さな羽根を伸ばして廊下の隅を示している。
 なんだろう、と長野が視線を向けたその先では。
「ひよこさん!?」
 もう一羽、別のひよこがぐるぐると目を回してくったりと床に転がっていた。
「た、たたた、たいへんです!ひよこさんが!!」
 慌てて転がっているひよこと、こちらは無事らしくぴぃぴぃと鳴き声を上げるひよこをを拾い上げると、長野はばたばたと先ほど目指していた上官執務室へと向かう。
 廊下は走ってはいけない、と。東海道せんぱいと約束しました。

 ……でも、これは非常事態です!

 しかも先ほど足をひっかけてしまったことが原因ならば、このひよこに対する責任が長野にはあるということになる。余計に非常事態だ。
 半分泣きそうになりながら、くったりしたひよことぴい!ぴい!と何かを訴えるひよこの二羽を両手に、長野は必死で先を急ぐ。
 ロビーを突っ切り、会議室をひとつ、ふたつと通り過ぎて。
 やがて視界に入った重厚な木製の扉に、焦りと安堵がないまぜになった長野は、体当たりするようにして室内へと飛び込んだ。

「せんぱい!せんぱい!!ひよこさんが!!?」

 転がり込むようにして入った上官執務室の状況はといえば、書類整理の途中だったのか、万年筆を手にしたまま東海道は驚いて固まってしまっている。山形は手にした分厚い書籍(たぶん野鳥図鑑)から視線を上げて手にしていたそれをぱたりと閉じて、東北は一瞬だけ長野へと視線を向けたが、状況を察したのかそのままPCへと向き直った。秋田はミーティング前にお茶を出すのが会議前の恒例だから給湯室だろうか、姿が見えない。上越はおや、と一言つぶやいたきり、得体の知れない笑みを浮かべている。
 だが、そんな微妙な状況も、必死な長野には関係がないものだった。
「ひよこさん、ひよこさんが足でぶつかってきゅーってなって!ぼく、ぼくどうしたら……!」
 必死なあまりに良く分からない説明になっていることにも気付かずまくしたてる長野の手のひらから、図鑑を傍らに置いた山形がそっとひよこをつまみ上げる。
「ちぃと落ち着け、長野?」
 手の中の小さなひよこを確かめるように指で撫でて、山形はふと口元を緩める。慣れない人間には判別も難しい表情の変化だが、どうやらこのひよこの状態はさほど深刻な事態ではないらしい。
「大丈夫、気ィ失ってるだけだで」
「でも……!」
「もうちっとしたら目ェ覚めっから、どっかに寝かせてやればええよ」
 静かに告げた山形がひよこをソファの上に下ろすのと、長野の手の中に残っていた元気な方のひよこがぴい!と声を上げるのはほぼ同時だった。
 その声にそれまで固まっていた東海道がはっと顔を上げ、長野の手の中のひよこを確認するとがたりと音を立てて椅子から立ち上がる。

「と、TOICA!?」
 ぴい!

 まるで返事をするようにひときわ高く囀ったひよこは、ぴょい、と長野の手からふかふかの絨毯に降りて、ちょこちょこと東海道に向かって歩いてゆく。いや、ひょっとしたら走っていたのかも知れないが、所詮ひよこの足でしかも毛足の長い絨毯だ。無理もない。
 慌てて手を伸ばした東海道の白い手袋に覆われた掌にちょこんと乗っかると、再び何かを主張するかのようにぴよぴよと声を上げる。
「おまえたち……いったいどうやってここまで来た?誰か一緒じゃないのか?」
 ことり、と細い首を傾げてひよこに話しかける東海道の、珍しくもその口調は詰問調でもなければ眉間にしわもない。心底驚いた、という表情の中には常に意識して高速鉄道としての威厳と規律を纏っている彼の滅多に見られない優しさのような色が見え隠れしていて、関わり合いにならないように遠巻きに状況を見守っていた上越は僅かに眉を跳ね上げた。
 そんな周囲の様子を知ってか知らずか、東海道は首を傾げたまま手の中の小さな生き物に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「たまたま今日は私がいたから良かったものの、どうしてこんな奥まった場所にわざわざ入り込むんだ。東京でうろつくならせめて在来線フロアだけにしておけ、東海道か中央辺りが名古屋に連れて帰ってくれるからな?」
 ひよこを目の高さに持ち上げて話しかける東海道の姿、という珍しいものにみな固唾を飲んで見入る中、けれども当事者たるひよこと東海道だけは真剣にそのやりとりを続けている。
 おずおずとその様子を覗き込んでいた別の意味で当事者である長野だったが、滅多にないほど気安い様子でひよこに接しているとーかいどーせんぱい、という珍しい情景に、思わず縋るように東海道の濃緑の制服の裾を引いた。
「あの、とーかいどーせんぱい!ひよこさんとお知り合いですか?」
「ん?ああ、前にICカードについて説明しただろう?JR東海ICカード、『TOICA』。そのマスコットキャラの片割れだ」
 ほら、と口元を緩めて長野の手の中にひよこを渡してやる。心得たようにぴぃ!と鳴いた小さな黄色いひよこは、ぴるぴると羽をばたつかせながら丸い瞳で長野の顔を見上げている。
 その愛らしい仕草にへにゃりと相好を崩した長野だったが、もう一羽のひよこの事に思い当たり、眉をハの字にしてがばりと顔を上げた。
「あの、あの!ぼく、別のひよこさんとぶつかっちゃって……あっちのひよこさんは大丈夫でしょうか?」
 縋るような眼差しで見上げる長野に、東海道は小さく笑ってその頭をくしゃりと撫でる。普段は気難しい表情ばかりで、その中に探す事も困難などこか甘くて穏やかな東海道は、ひょっとしたらひよこの前だからだろうか。
「ああ……気にするな、これくらいは日常茶飯事だ。あっちでもよく東海道や関西の頭によじ登っては転げ落ちている、長野がぶつかったくらいならどうということもあるまい」
 だから心配は要らない、と告げて、再び長野の手からひよこを掬い上げる。慣れた様子でぴょこん、と東海道の手に移ったひよこは、これまた自然な動きでそのポケットに潜りこんだ。
 烈火の如く憤慨する東海道を予想した長野はわあ、と声を上げそうになって口元を押さえたが、心配された当の本人は気にする様子もなく、もう一羽が転がっているソファへと足を向けた。
「――おまえも、もう起きてるだろう?」
 すい、と手を伸ばせば、小さく鳴いたもう一羽のひよこもじゃれるように東海道の手の中に収まる。調子がいい奴め、と呆れたように溜息をひとつ落として、東海道はその一羽も先ほどとは別のポケットに落とし込んだ。
「……東北、悪いが今日の定例報告は中止して構わないか?」
「おまえがそれでいいなら否やは無いが」
 沈黙のままに一人我関せず、と作業を続けていた東北が、それでも顔を上げて東海道の問いに答える。今日は特に事故や遅延があったわけでも特筆すべき懸案事項があるわけでも無く、日常業務の報告と業務日報の提出だけで済むのはわかっている。
 それでも毎日ミーティングを行い業務日報の提出を東海道が求めるのは、彼が築き上げてきた高速鉄道に求められる安全性と利便性の追求のためだ。この速度と頻度で走る鉄道として、『新幹線』の事故率の低さは驚異的とも言える。僅かな油断が大事故につながる事を知るが故に、東海道は己の実体験を以て技術が進歩し、ひとりきりではなくなった現在でもそれを徹底しようとしているのだろう。
 或いは、彼自身こそが直接皆の無事を確かめたい故なのかも知れないけれど。
「東日本の報告書は俺がまとめておく。検討が必要なものは明日改めておまえに回す」
「すまない、頼んだ」
 軽く手を上げて、東海道は背筋を伸ばして執務室を後にする。ポケットの中では相変わらず小さなひよこがもぞもぞと動き回っていて、この生き物たちが全く懲りていない事を否応なしに知らしめていた。
 思わず溜息を落として東海道は階段を降りて行く。自分はこのまま今日は東京に詰める予定だが、弟は向こうに戻るかも知れない。よしんば戻らないとしても、あいつの方がこのひよこたちの扱いには慣れている。
 それにしてもここまで行動力があるとは思わなかった。確かに東日本や西日本と相互利用はあるが、函南から熱海までは利用エリアではあるまいに、どうやって東京駅までやってきたのか。
「……ひょっとして、東海道のポケットに潜りこんで来たのか?」
 気付かれないうちに人のポケットに潜りこんで、気付かれないうちに出て行くのはこのひよこたちの最近の特技のひとつだ。前にも関西のポケットに潜りこんだまま大阪まで行ったらしく、山陽と西日本のカモノハシがひよこを抱えて名古屋に返しに来てくれたことがあった。申し訳ないやらありがたいやらで、後々弟に一人と一匹宛ての手土産を託したが、無事彼らの手元に渡ったろうか。
 今後の為にもひよこ用の迷子札の導入を真剣に検討すべきだろうか、と思い悩む東海道は、故に下から聞こえた己を呼ぶ声に目を瞬いて足を止める。

「――さんよう?」
「おー、ようやく気付いたな東海道」

 ぱちぱちと瞬きをする東海道の視線の先、踊り場辺りで山陽が軽く手を上げる。そういえば今日はミーティングに遅れると連絡があった、と思い出し、慌てて階段を降りて踊り場へと身体を移した。
「今戻ったのか?悪いが今日のミーティングは中止に……」
 中止になった、と言いかけた東海道のポケットでひよこが再びもぞもぞと動く。恐らく東海在来線と東海道新幹線の次にこのひよこに詳しいであろう男はそれだけで察したらしく、苦笑を浮かべて東海道の頭にぽん、と手を置いた。
「結局そいつらに優しいもんな、おまえさん」
「……わかったような口を利くな、山陽」
 むっとした表情で頭上の手を払いのけ、止めた足を再び在来線待機室のあるフロアへと向ける。弟の運行情報なら兎も角、個人的な業務スケジュールまで把握しているわけではないが、幸い今日は京浜東北から全体ミーティングのための会議室の申請を受けたばかりだ。こちらに来ているのは間違いない。
 何より、庇護者のように振舞われるのは不愉快だ。
 守るというなら自分こそがJRの名の元にあるすべてを守る覚悟がある。傷を負うのも痛みを覚えるのも、矢面にあるだろう自分だけでいい。
 こいつやひよこが相手だと調子が狂う、と眉間のしわを深くして、下り階段へと足を踏み出そうとした瞬間、背後から伸びた腕に抱きこまれた。
「山陽!?」
「……ちょっと、妬けるなって」
「何をバカな……!!」
 狂言を疑ってじたばたと暴れる東海道の首筋に、山陽の吐息がかかる。ぬるいそれにぞくりとした背筋と、覚えた感情が拒否ではない事に余計に慌てた東海道は、首から上を見事に真っ赤に染め上げた。
 昼間から、それもこんな場所でするような事ではない。ないとわかっているのに、じたばたさせた手足は決して本気で拒絶しているわけでもないのだから性質が悪い。
 抱きしめる、それ以上の何をしてくるわけでもないが、離そうともしない。
山陽の真意が読めず、ぐるぐると混乱した思考を巡らせる頭を持て余した東海道を救ったのは、どこか呆れたような声だった。

「――何やってんだよ、兄貴。山陽サンも」
「と、ととととうかいどう!?」
「おージュニア、おひさ〜」

 階段の下では、呆れたように半眼になった弟が立っている。己の顔の横で山陽がひらひらと手を振っているのすら数秒間理解が出来ず、思い切り固まった後に赤かった顔がさあ、と青くなる。
「ち、ちがっ……!これはそのべつにっ、コイツとはなんでもなくっ」
 慌てて言い訳する東海道の言葉を聞いていないのか聞く気がないのか、ジュニアは肩を竦めて階段を上がる。
「……人様の恋愛に口出しする気はないけどさ、業務時間中にいちゃつくのはやめといた方がいいんじゃねーの?アンタだって妙な噂が回るのは困るだろうし……それと」
 すう、とジュニアの細めた眼が冷たい光を帯びる。兄に絡みついていた山陽の腕をべりべりと剥がし、庇うように己の背に隠して告げる言葉は辛辣な刃を帯びている。
「悪ふざけは大概にしといて下さいよ、山陽上官。次があったら本気で殴ります」
 というか、兄にとって共に本州の半分を走る大事な同僚でなければとっくに殴り倒してます、と告げるジュニアの笑顔は、顔だけで目が笑っていないので大変恐ろしい。
 状況が全く掴めない東海道は、弟の真意を測りかねて思わずその袖を掴んで己よりも高い位置にある顔を覗き込んだ。
「と、とうかいど……?」
「アンタも東海道だって何度言わせるんだよ。……心配しなくてもアンタの不利になるような真似はしねーよ」
 俺は東海道本線だからな、と告げる言葉と表情は、何処までも不器用な優しさに満ちている。だがしかし、その合間に山陽に向けられる表情は何処までも油断ならないものを見る鋭さを垣間見せていたが。
 背筋を冷や汗が滴り落ちるのを感じながら、山陽は己の衝動をこれ以上ないほどに後悔した。ブラコンだのツンデレだの散々な言われ様な東海道兄弟だが、結局は互いが大事なので時々部外者としてはとても寂しい思いをさせられる瞬間がある。

「ところで兄貴、TOICAたち見なかったか?いつの間にかついてきてたらしくて、今探してんだけど……」
「ああ、そうだ!それでおまえに会いに行くところだったんだ」
「兄貴の方に行ってたのか?よくもまああんなとこまで……」

 今もポケットから取り出したひよこ二匹を手に、此方など置いてけぼりで仲良くツンデレ気味に会話を進める兄弟に思い切り忘れ去られ、山陽はがっくりと肩を落とした。







 一方こちらは上官執務室。

 東海道が出ていってドアが閉まるのと。給湯室から秋田が戻ったのはほぼ同時だった。そこに居る筈の人間の不在に、秋田はトレイを手にしたまま辺りを見回す。
「あれ?……ねえ東北、東海道は?」
「出て行った」
 簡潔に過ぎる東北の言葉はいつもどおりで、端的な事実しか読み取れない。しかし長い付き合いは伊達ではないので、秋田は根気よく質問を繰り返すことで詳細な事実を導き出そうと再び口を開いた。
「え?もう直ぐミーティングなのに?」
「今日は中止だそうだ」
「それ、東海道が言ったの?まさか何か深刻な用事で?」
「いや。どちらかと言えば私的な用事ではないのか」
 東海道が私用でスケジュールを変更するなんて珍しい、と目を見開いた秋田の傍らで、デジカメを手の中で弄んでいた上越が、とうとう堪えかねたように笑いをを零した。
「ちょっとね、めずらしいお客さんが来てたんだよね」
「え?え、なに?僕だけ除け者なの?」
「見たい?見たい?っていうか見る?」
 慣れた手つきでデジカメを操作し、取った写真のプレビューを液晶に表示させる。一覧の中には大雨で凹んだ東海道だの、山陽と本気で取っ組み合いの喧嘩をしている東海道だの、このままマニアに売れそうな写真の数々が納まっている。
 相変わらずいい趣味してるね、と胡乱な眼差しになる秋田にチェシャ猫のような笑みを浮かべて、上越はその中の一枚を表示させた。
「ほら、我ながらベストショットだと思うんだけどさ」
「……あれまぁ」
 手のひらに収まる大きさの液晶画面の中で、小さな黄色いひよこを手にして滅多に見られない優しい表情で微笑む東海道。こうした表情を見た事がない、とまでは言わないが、数年に一度見られるかどうか、というレアなものには間違いない。
 自然と秋田だけではなく東日本高速鉄道の面々がわらわらと上越の周囲に寄って行って、目一杯背伸びした長野がぱあ、と顔を輝かせる。
「せんぱい、上越せんぱい!ぼくこのお写真欲しいです!!」
「いいよ、焼き増しする?それとも壁紙、待ち受けの方がいい?」
 微笑ましいようでいて疑問を覚えずにはいられない受け答えに、果たして長野の養育の方向はそれでいいのか小一時間目の前の小悪魔を問い詰めたい衝動に駆られながら、それでも秋田は液晶の中の珍しい東海道の笑顔に相好を緩めた。

 扱いの難しい男だけれど、それでも僕らが彼を嫌いになれないのは、こういう表情を知っているからだと秋田は思う。
 その後も何枚も続くひよこと王様の微笑ましい写真のスライドショーに、何とも言えない穏やかな空気が室内を満たしていた。




2008.09.02.

無料配布本「crossroad-fragment」より再録。